紫イペの世界の研究
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【世界各地の研究で確認された紫イペの抗がん作用】
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ブラジル先住民たちの間で「神からの恵みの木」として崇められてきた紫イペの内部樹皮、西洋医学の台頭によって、しだいに忘れ去られた時期があった。
なぜなら、最先端の化学を駆使する近代医学の「旗手」である頑固な科学者たちは、医学療法設備の面を最重視し、一本の樹木の樹皮を治療薬として認めるにはその「由来」が医学的に確立されていないというのが、理由のひとつだったようである。
しかしそんな状況の中で、少数の医療専門家たちは、紫イペが人間の健康維持にどんなメリットをもっているのか。その可能性を鑑定することに大きな関心を示した。
世界各国で紫イペが再び注目されるようになったのは、1990年代も半ばを過ぎてから。しかし、当時の研究は紫イペの内部樹皮から特定の成分を単離して、薬品を開発することに力点がおかれていたようだ。
1956年〜1963年にかけて、イタリアのローマ衛生研究所では、紫イペの内部樹皮からラパコールとよばれる色素を単離して抗菌性を確認した。
1965年同じくイタリアのミラノにあるカルロ・エルバ研究実験所はラパコールに腫瘍抑制効果があることを動物実験で突き止めた。

1968年にはブラジルのレシーフェ抗生物質研究所のデリマ博士が、紫イペの内部樹皮から抽出したラパコールに抗腫瘍作用があることを発表した。デリマ博士の発表は、「肉腫を発症させたハツカネズミに、ラパコールを投与したところ、肉腫の成長を84%抑制した」という衝撃的なものあった。同じ頃同様の研究がアメリカの研究機関でも行われ、いくつかの抗がん作用の報告がある。
ところが、他の医薬品の例にもなく、精製単離されたラパコールには、その後の研究で副作用があることがわかった。刃物を研げば研ぐほど切れ味は鋭くなる、取り扱いを間違えると手指を傷つけてしまうのに似ている。当初抗ガン剤として期待されていたラパコールだが、副作用があることが分り抗ガン剤とはならなかった。


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